部門委員会

本会を紹介します



(1) 沿革と趣旨

 本会は,1954年に「クリープ部門委員会」として発足した. クリープに限らず高温疲労など高温強度全般にわたる問題を扱うようになったことから,1959年に「高温強度部門委員会」と改め,今日に至っている. この間,我国を代表する多くの研究者を輩出し,我国のみならず世界における高温強度研究をリードして来た. また,高温機器の信頼性向上など産業界の発展にも寄与してきた. 本会は"学会活動を通じた社会貢献"を趣旨としており,産学交流の機会を提供すると共に,企業や大学における高温強度に係わる技術の伝承・習得を支援している. 以下に,その活動の概要を紹介する.

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(2) 部門委員会および表彰制度

 本会の活動内容を委員の皆様に協議していただく場として,部門委員会を年5回開催している. 同時に,講演会を開催しており,活発な討論の場を設けている.
また,将来性に富む研究成果を挙げた人に対する「躍進賞」,研究開発において顕著な業績を挙げた人に対する「貢献賞」さらに,社会の発展および人材育成に功績を残した人に対する「功労賞」を設け,毎年,後述の高温強度シンポジウムの場で表彰している.

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(3) 研究発表

 毎年12月初旬に「高温強度シンポジウム」を開催している. 学界のシーズと産業界のニーズの交流の場として重要な行事であり,例年,活発な議論が行われている. また,本シンポジウムは人材育成の場としても重要であり,若手の優秀な発表に対して「ベストプレゼンテーション賞」を設けている. 本シンポジウムは1959年に始まり,昨年,第51回を長崎市で開催した.今年は函館市で開催される. これまでの講演前刷原稿を収録したDVDは,本分野の研究の趨勢や変遷を知る貴重な資料であり,本分野に携わる方に購入をお勧めする.
その他,研究発表の場としては,毎年5月に開催される学術講演会のオーガナイズド・セッションがある. また,論文投稿の場としては,会誌「材料」に2年に1回のペースで「高温強度特集号」を企画し,最新の研究成果を発信しているので,活用いただきたい.

第50回記念大会(京都)


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(4) ワーキンググループ活動

  本会では,ワーキンググループ活動を積極的に推進している. 活動は課題研究あるいは技術伝承を目的とするものと,試験法標準およびデータベースを社会に提供するものとに大別される. これらの活動に興味をお持ちの方は是非,参加いただきたい. また,活動の成果は報告書として発刊されているので,興味のある方は購入されたい. これまでに設立されたワーキンググループを目的別に列挙する(括弧内は設立年,下線は現在も活動中).

・課題研究あるいは技術伝承を目的とするワーキンググループ

熱応力と熱疲労(1970), 高温用材料の組織と強度 (1970), 非弾性解析法 (1982), 高温疲労破損のクライテリオン (1986), 金属基複合材料の高温強度 (1991), 高温材料ミクロ組織・強度特性調査 (1994)超合金とそのコーティング材の高温強度評価技術 (1997)

・試験法標準およびデータベースの提供を目的とするワーキンググループ

高温疲労試験のあり方 (1982), 寿命・余寿命評価法検討 (1991) , はんだの強度評価法 (1997), 高温低サイクル疲労試験法標準(2000), 損傷評価 (2006), 微小サンプルクリープ試験法 (2006), 高温き裂進展試験法 (2008), 余寿命診断技術評価(2011)

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(5) 情報提供

ワーキンググループ活動等を通じて,これまでに作成した試験法標準およびデータベースを以下に列挙する(括弧内は発刊年).

「はんだの引張,クリープ,低サイクル疲労,クリープ疲労試験法標準および同データベース」(2000,2004), 「高温低サイクル疲労試験法標準」(2003), 「微小サンプルクリープ試験法標準」(2012)

 また,会誌「材料」には,時代の要請に応じた課題について第一線の研究者による解説を連載講座として発信している.  これまでに連載された課題を列挙する(括弧内は発刊年).

「構造物の高温強度について」(1969), 「金属および合金の高温変形挙動」(1981), 「高温機器設計の現状と将来」(1987), 「高温変形のコンピュータシミュレーション」(1995), 「高温破壊のコンピュータシミュレーション」(1995), 「超あるいは極の技術と高温強度」(2002), 「熱疲労破壊の新展開」(2007), 「高温機器における劣化・損傷の検出と寿命診断」(2009), 「高温機器における余寿命診断技術開発の最前線」(2012)

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(6) 国際交流

 1992年から中国機会学会高温強度部門と日中高温強度シンポジウムを開催してきた. 第1回(1992年,洛陽),第2回(1995年,長岡),第3回(1998年,南京),第4回(2001年,つくば),第5回(2004年,西安),第6回(2007年,仙台),第7回(2010年,大連)と回を重ね,昨年は第8回を旭川市で開催した. 次回は2016年11月初旬に中国湖南省の古都長沙市で開催される. また,今年5月には,欧州ECCC(European Creep Collaborative Committee)との第1回交流会をローマで開催し,高温強度に関する課題について情報交換する予定である.

第8回日中高温強度シンポジウム(旭川)


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(7) 技術伝承支援

 昨今,企業や大学において高温強度に係わる技術を伝承・習得することが難しくなっているため,本会はこれを支援すべく,「若手研究者および技術者のための高温強度講習会」を2008年,2010年,2012年に明石市で開催した. 2日間で第一線の研究者から高温強度の基礎から応用を学び,関連する実験技術を習得できるように企画されている. 今年は11月に神戸工業試験場で開催するので,奮って参加いただきたい.

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(8) 技術相談窓口

 昨年,技術相談窓口を本会ホームページ上に開設した. 高温強度に関する問題について,本会委員から選ばれた回答者が相談に乗るものである(相談は無料であるが,回答内容およびそれに伴い発生した相談者の業務上の責任は負わない). 気軽にご相談頂きたい.

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さいごに

 本会は今後も高温強度研究の発展と社会貢献を目指して活動していく所存なので,より多くの皆様が入会されることを期待している.

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